それからというもの......。
マデリーンの毎日は色づき始めた。草木は踊り、花々は歌いかけてきた。朝陽はそれまでよりも眩しく、夕陽はそれまでになく切なくなった。
夜空に新しい星座を描いた。あの人との幸せな未来という星座を。
「私、あの人のことが好き......」
ハッキリと自覚してからも、しばらくは片想いを続けた。デアルトス国立学院に入学し、学友となってからも片想いを続けた。そんな時だった。
「良い相手が見つかりましたよ」
母からお見合いの話が下りてきた。見合い話はこれまでにも何度かあったことだが、今回は様相が異なった。相手は、ある公爵の子息で、しかもマデリーンのことをひどく気に入っているという。
「まさか公爵家の御子息様に気に入られるなんて......公爵といえば最高位の貴族ですよ!?」
母は興奮していた。引きつった笑いを浮かべるのみの娘に向かい、母は冷徹な表情を浮かべる。
「いいですか、マデリーン。今回は絶対に失敗は許されません」母の目は、獲物を狩るヘビの眼だった。
翌日。マデリーンは告白した。他に誰もいなくなった教室で。